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2023年 07月 31日
一月程前の話だが、マニラに行った。 ある有名な教会の、1年間に渡る設立75周年記念行事の最後のミサに出るために。 この教会のCoffee table bookに付けるポップアップを私が担当することになり、七転八倒した話は既に書いた。(→https://odysseyi.exblog.jp/241792121/) だが、それは4月が終わっても、5月になっても、メイルや電話のやりとりが続き、内心ヤキモキした。本当に間に合うのだろうか? 遅くなったのには理由がある。 ポップアップの背景がなかなか決まらなかったのだ。 当初、ベトナムの制作チームは実際の敷地をリアルに再現し、建物もリアルな色にしようとした。だが、それは今回のCoffee table bookの内容や主題には相応しくない。クライアントのMさんがポップアップを本に付けようと思ったのも、そしてそれを私に依頼したのも、もっとピュアなファンタジーの要素、現実ではない神の世界に近づくための端緒をこのポップアップに求めたのではないか。 なので、今あるものをただ並べただけのデザインや、現実を可視化するだけのデザインはしたくなかった。 ドノバンの唄う「Brother Sun Sister Moon」をかけたり、「もっと天国にしてくれ」などとわけの分かったような分からないようなことを何度も言った。 そんなある日、夢の中で、この教会の最も象徴的な絵「幼子イエスを抱くマリア」の二人が、雲の中で左右に分かれ、その間に教会が浮かぶシーンが現れた。 目が覚めた時、これしかないなと感じた。 スタッフのK君が60種類以上の色で何度も打ち出し、その内の一枚をマニラとホーチミンに送った。 マニラに着いた時、本やポップアップが完成してるのか、してないのか知らなかった。翌日のミサやその後のレセプションの準備で皆忙しそうだった。 当日は夕方までホテルで待機し、ミサの始まる直前に教会に行った。 前から数列後ろの席にいたら、一番前に行くようスタッフに促された。おかげでミサの様子がよく見えた。 ミサはとても盛大で、1時間半くらい続いた。その間、参列者と同じように振る舞いながら、昔初めて教会に行った頃を思い出した・・・ 4、5歳頃だった。 毎日曜日、朝、長崎の小さな教会に通った。小さな手に5円玉を握りしめて。 父と母はクリスチャンではなかったが、我が子の教育に良いと思ったのだろう。 黒い服をまとった神父は幼い子でもわかるよう、いつもやさしく語ってくれた。 半分くらいは上の空だったが、残りの半分くらいはどこか心に残った。 話が終わると、前から順々に黒い帽子が回ってきて、それに5円玉を入れた。 そして一列に並び、ウエハースのような小さなものをもらい、食べた。 この儀式を幼い子どもは大変気に入った。 精霊が自分の体内にスーッと入っていくようで。 幼稚園もその小さな教会にあったので、そのまま通った。 毎回、食事の時はお祈りをした。時々薄眼を開けて、みんなの様子を見ながら。 ある時、先生と衝突して「神様なんか在せん!」と叫んだ。すると先生は言った。 「在すよ、心の中でかずまくんを見ているもう一人のかずまくんが。 それが神様です。」 ドキーンとした。それ以来、神様が自分をずっと見ているような気がしている。 それから30年以上経ったある日、 父が交通事故で脳をやられ、どうなるかわからない、と母から突然電話を受けた。 病院に向かう電車の中で西に沈む夕陽に向かって深いお祈りをした。 (神様、私の命と引き換えに、大好きな父を生かしてください。 その代わり、私の命と人生はあなたに捧げます。) だから、それ以降の私の命と人生は私のものではない。 そんなことの一つ一つが走馬灯のように蘇っていった。 私はクリスチャンではないが、生まれた長崎の影響を強く受けている。 それは単にキリスト教のことを言っているのではなく、丘の上から見た西に沈む夕陽や、その後に現れる夜の星、風に揺れる山川草木や、そこに潜む命など、初めて見た頃の自然に対する慈しみや畏敬の念の数々で、その思いは年々深まっていく。 それが私の言う神であり、特定の宗教の神を指してはいない。 だが、その切っ掛けは、あの幼き日の日曜学校から始まっている。 ミサが終わり、神父たちが退場して一段落した頃、Coffee table bookの発行セレモニーが始まった。本の編集やポップアップに関わった人々が壇上に上がり、記念撮影をした。その時、本とポップアップが初お披露目されたので、少なくとも数冊は完成していることを知った。間に合ってよかった、と安堵した。 その後は教会に隣接する信徒館で盛大なパーティが開かれ、関係者で夜遅くまで賑わった。ホテルに戻った時は翌日を回っていた。 翌朝は編集者のAさんとゆっくりホテルで過ごした。 午後にMさんが来て、空港まで送ってくれた。 別れ際に大きな薄いダンボールケースを渡された。 中身を聞いたら、「ドライマンゴーだ」と言ったので、成田の税関チェックでも「ドライマンゴーだ」と答え、そのまま外に出た。 家に着き、開けてみると、それは完成したばかりの本とポップアップだった。 私は感動で涙が出そうになった。 またしてもMさんにやられた! と思いながら、夜中の3時まで本とポップアップを何度も開き、見惚れた。 かずま
by odysseyofiska
| 2023-07-31 19:45
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