イギリスのEUからの離脱が決まった。
テロやEUとの関係が取沙汰されるが、最も大きな理由は移民問題だという。
フランスもル・ペン率いる反移民の極右政党が再び台頭し、ドイツもメルケルの移民難民の受け入れに国民世論は反対し、ネオナチや極右政党が盛り返している。
ヨーロッパだけではない。アメリカでは共和党のトランプが極端な移民排斥をかかげ、それを有権者が支持して共和党の大統領候補になるという由々しき事態が起きている。
どれにも共通して言えるのは、自国内で起きたすべての負の論争を移民難民問題にすり替え、単純化して声高に排斥を唱え、それに国民が迎合する姿だ。
これは、第一次世界大戦後の敗戦で多額の賠償金を背負い不況で苦しむドイツでにわかに台頭し第二次世界大戦を引き起こしたヒットラーの論理を思い起こさせる。
ユダヤ人を問題標的にし、アーリア人こそが優越民族で正当なドイツ国民であり、そうでない人種は排斥すべきだとした、あれだ。
その後、ヒットラーは亡命した優秀なユダヤ人科学者らによって手痛いしっぺ返しを受けることになるが、ホロコーストの痛ましい事実がそれによって消えるわけではない。
こうした無謀で無慈悲な出来事を過去に起こした国の宰相だからこそメルケルは余計人道的措置にこだわるのだろう。
それはとてもすばらしいことだが、困ったのは、これを機に人々の不安をかき立てて政治的に利用し野望を成し遂げようとする第2、第3のヒットラーがいることだ。
そうなのだ。ヒットラーは死んでいないのだ。
未だ生きててあわよくば世界を手に入れようと常に虎視眈々と狙っている。
それはル・ペンやトランプだけでなく、我々すべての中に生きている。
もちろん、私の中にも生きている。
人種差別や偏見、人を見下す感情、貧富の差を助長する歪んだ価値観、偏狭な仲間意識など、姿形を変えながらすべての人の心の中にヒットラーは今も生きている。
だから我々はそういう自分といつも戦う努力をしなければならない。
永久平和のための永久運動の永久革命を続けなければならない。
平和は外から誰かが守ってくれるものではない。
内から自分で守るものだ。
かずま