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2016年 06月 16日
モハメド・アリの試合をTVで初めて観たのは小6の時だった。 たぶん初めて宇宙中継されたボクシングの試合で、卒業間際でやることがなかったからだろう、授業中に観せてくれた。(当時はとてもおおらかで良い時代だった。今なら問題になったかもしれない) 「蝶のように舞い、蜂のように刺す」ボクシングを初めて観た。相手のボクサーも大きく強かったが、試合は終始アリの一方的ペースで、ヘビー級のボクシングではありえないようなフットワークの軽さで華麗なダンスを踊りながら刺すようなパンチを放ち続けた。 魅了された。ボクシングはただの殴り合いではなく、頭も要求されるスポーツだと知った。 だが、その後アリは徴兵拒否の有罪判決を理由にタイトルとボクシングライセンスを剥奪されてしまう。 「ベトコンは俺を“ニガー”とは呼ばない。 彼らには何の恨みも憎しみもない。殺す理由もない」 ベトナム戦争だけでなくアメリカ社会に巣食う根強い人種差別と不平等に対する公然とした抗議と歯に衣着せぬ発言でアメリカ国家と白人社会を敵に回した結果だった。(だが、今から思えば極めて正論だ) やがてベトナム戦争のアメリカの撤退と共に有罪は破棄され、ライセンスも復活する。 その結果、アリは3年7ヶ月のブランクを経てリングに復帰する。だが、このブランクはあまりに大き過ぎた。そしてジョー・フレージャーとの世紀の一戦を交える。 この時のことは今でも鮮明に憶えている。 高1の最後の春で、昼休みに用務員室のTVで観た。 試合はアリの繰り出すパンチを避けながらスモーキン・ジョーが懐に飛び込みパンチを放つ有利な展開で、15ラウンドにそのパンチが当たり、アリがダウンした。 その瞬間、黒山の人だかりがワッと前に潰れて、丸いちゃぶ台がペシャンコになった。そして全員サッと消えた。あとにはカンカンになって怒る用務員と私だけが取り残されたが、用務員の怒声よりもアリのダウンの方が信じられなくて、そのリプレイを何回も何回も観続けた。そのシーンはその後遅れて出た午後の授業の間や下校で帰宅する最中も私の頭の中から離れなかった。 その時初めて、世の中には「絶対」というものは無いのだということを知った。 というか、身体で感じた。数学や物理で論理的に教わる「絶対」が実はそうではないのだということを決定的直感的に教わった。 ジョージ・フォアマンとの死闘も忘れられない。 アリはローマ・オリンピック('60)のライトヘビー級、フレージャーは東京オリンピック('64)、フォアマンはメキシコ・オリンピック('68)のヘビー級の金メダリストだから、彼らは年が違う。 フォアマンはアリに勝ったフレージャーを2ラウンドで計5回もダウンさせてタイトルを奪った恐怖のハードパンチャーで、当時は25歳40戦無敗、対するアリは32歳で明らかに下降気味だった。 大学1年の秋だった。本当は観るのが怖かった。自分のヒーローがKOされ負けるのがほぼわかっていたので。試合は案の定、第1ラウンドからロープを背負い大劣勢だった。ところが耐えて耐えて訪れた第8ラウンドのわずかなチャンスで大逆転KOした。奇跡としか言い様がなかった。 この世には「絶対」というものは無いのだと再び教わった。 その後アリは、宿敵フレージャー(計3回)、ケン・ノートン(同じく3回)、レオン・スピンクス(2回)、ラリー・ホームズら強豪と戦い、死闘を繰り返した後、40歳を前に引退した。 (たぶん、この時代がヘビー級は一番充実しておもしろい時代だったと思う) やがて私も父親が交通事故で脳をやられて以来ボクシングを観ることができなくなり、やめてしまった。 そんな時だった、アリの姿を再び見たのは。 TVで偶然観たアトランタ・オリンピック('96)の開会式の聖火の点火式で、アリはパーキンソン病で震える身体と手を懸命に堪えながら大役を果たした。 私は目頭が熱くなった。そして父親も必ずアリのように復活できるだろうと強く思った。 この世に「絶対」というものは無い。 「不可能」というものも無い。 アリから教わった。 かずま
by odysseyofiska
| 2016-06-16 17:19
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