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2014年 08月 09日
飛行機の長旅で映画を観てよかったと思ったことはほとんどないとblogに書いたら、 じゃ、飛行中はどうやってあの退屈な時間を過ごすんだ?ずっと寝てるのか? と友人に聞かれた。 冗談じゃない!飛行機から見える外の景色の移り変わりくらいおもしろいものはない。 私は飛行中はほとんど窓の外の景色に釘付けである。(でもシェードを閉めろとCAの指示があれば閉める) 先日、久しぶりに仕事でマニラに行ったが、行きは午前便で指示があり、帰りは午後便で無かった。おかげで夕陽が沈むまでの間、行き交う雲や刻々と変わって行く情景、そして光のシンフォニーを堪能した。 記憶を辿ると、物心の付くか付かないかの頃から窓際に椅子を持って来てその上に乗り、外の景色を何時間もボーッと見ているのが好きだった。 (Mはそれを見ながら、この子は本当は馬鹿ではないだろうかとひどく心配したらしい) 稲佐山の上を左から右にゆっくり流れて行く雲を毎日見ながら、からっぽの空の向こうに自分だけの想像の国を見ていたのかもしれない。 そのゆったりした時間の流れと幸福な感触は未だに私の身体の中に残っていて、こうした乗り物に乗って窓の外の景色を眺めていると、ふとそれを思い出すことがある。 だから私は乗り物が好きで、乗るんだったら窓際で、一番前のパノラマ席に座った時はほとんど無心で景色と同化してしまう。 乗り物の中でも一番好きなのは飛行機だ。 本当は私は恐がりで、離着陸の時はいつも緊張して固まってしまうのだが、一旦それから解放されると窓の外の景色と同化し始める。 そして雲の創り出す無限の造形と遊び始める。 こんなに自由な造形を次から次に生み出す天才を私は他に知らない。 雲を毎日描いていればスランプにならないと言った造形家がいたが、まったく同感だ。 しかも飛行機はその内や外を自由に飛び交うことができる。 その時のダイナミックな感触とめくるめく感覚は建築を遥かに越えている。 凄いなといつも思う。 あまり長く外ばかり眺めていると隣の人に変な奴だと思われるので、音楽はよく聴く。 だいたい、ジャズ、ソウル、ワールドミュージック、ポップスの順で聴いて、最後にJポップで終わるのがいつもの聴き方だ。 空で聴くと普段感じなかった何かに気づき、窓の外を見ながら来し方行く末を思う時もある。(ボブ・ディランの「ライク・ア・ローリング・ストーン」や徳永英明の曲を聴いた時がそうだった) それにしてもいつも思うことだが、ジャズの選曲はセンスが悪い。 先日のマニラの旅も、すべて最初だけ聴いてやめた。フュージョン特集とやらで、定番をベタに並べただけの何のひねりも無い選曲だった。 空の上で聴くのだから、そうした状況に合わせた工夫が欲しい。 たとえば、マイルスが初めて電気楽器を導入した「Miles in the Sky」の「Stuff」をイントロに入れるとか、晩年の聴きやすい「Amandra」やヒップホップの「Doo-Bop」の曲を入れるとかすれば、少しはメリハリはついただろう。 別にマイルスでなくてもいい。新人でも誰でもいい。 ただ私は空の上でジャズを聴いて快適な気持ちになり、雲を見ながら夢想したいだけだ。 こんな憎まれ口が言えるのも今が平和な時代だからだ。 69年前の今日は長崎、3日前は広島に原爆が落とされキノコ雲が立ち昇った。 それは自然のつくる美しい壮大な景色とは似て非なるものだ。 いつまでも美しい大空のままであって欲しい。 かずま
by odysseyofiska
| 2014-08-09 07:02
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