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2014年 03月 26日
K氏の本をつくることになった。 追悼文集ではなく、K氏の思想や行動を次世代に伝えるために、時系列に添いながら各年代に在籍した幅広い元所員が書くことになった。 私も執筆することになった。 書かなければ、書かなければと思いながら、仕事にかまけてそのままにしていたら、とうとう催促が来てしまった。 一念発起し、書いた。 (ヨシザカと同様)私に影響を与えてくれたK氏のSpiritについて書いた。 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 私は80年3月にW大の建築(Y研究室)を修了し、4月にK氏の事務所に入所した。 それから4年後に退所したので、いわば建築の博士課程に通ったようなものである。 大学の博士課程であれば教授に付いて助言を得ながら仮説を立てることに没頭するのだろうが、K氏の事務所は当然ながら現実の建物をつくる実戦の場なので、私は毎日を夢中で生きながら多くのことを身体で覚えていった。 (体育会系なのはY研究室も同様だった) なので私には「自分は叩き上げだ」という意識しかない。 Eさん始め多くの先輩方に愛され(=しごかれ)ながら育っていったが、やはり、K氏の一挙手一投足は忘れ難い。 それは簡単に言ってしまえば、純粋で稚気溢れる子供が自分の見聞きしたものに触発されながら毎回感動し、興奮して喋りまくっている、という感じだ。 皆はそれに圧倒され、翻弄され(時には困惑しながら)常に建築に対し純粋に向き合うことを強制された。 それは今から思うと、何と素晴らしい体験だったろう!! K氏の言動は事前に準備し意図したものではなく、その場で自然に湧き上がる無垢な感情そのものだった。だから激高することもあったし、反対に激賞したり、感極まることもあった。 K氏は永遠の子供だった。 雨に感動したり、木漏れ日の光に歓喜したり、両手を拡げて風を感知したりした。 子供の頃に誰もが持ち合せていた好奇心を(大人になれば皆が無くしてしまうのに)死ぬまでずっと持ち続け、身体で感じ、声に出して発し続けた希有な人だった。 だからその言葉には初めて世界を知った人の純粋な驚きがいつも内包されている。 たとえ反発を感じたとしても、最終的には共感することの方が多かった。 一番心に残っている言葉は、 「今までに無いもの、見たことの無いものをつくりましょう!」 この言葉は何度も聴いたし、プロジェクトが始まる度にハッパをかけられた言葉だ。 それを信じて「よ〜し!これでどうだ〜!!」と力んで案を持って行くと、最初のうちは良いが、途中で打ち消され、最後はK氏流の和風で拍子抜けすることが度々あった。 (な〜んだ、あんなこと言うけど、本当はコンサバじゃん!)と怒ったものだ。 だが今から思うと、若き日のK氏は本当に世界で初めてのものをつくることに所員とまい進し、その結果、痛い目に何度もあった。私が所員の頃にはその経験知が自動的に働き、途中から無意識の内に危険をセーブするモードに入ったのだろう、と今なら理解できる。 私のチーフだったHさんから聞いた話だが、虎ノ門の現場に同行した際、施主のKさんから「若い建築家と経験豊富な建築家との違いは何ですか?」と訊かれ、K氏は「失敗する割合が減るくらいで他はたいして変わりません」と答えたそうだ。 けして自分の優位性を誇示するのではなく、若い人と競いながら常に新しい物をつくりたいと願い続けたK氏らしい言葉だ。 思えば、「今までに無いもの、見たことの無いものをつくりましょう!」という精神は、K氏の生涯を貫いている。また、K氏のスクールのすべての作品に通底している。 そしてその原点は「永遠の子供」だ。 私もその精神を受け継ぎ、建築に対し最後まで純粋でありたいと思う。 かずま
by odysseyofiska
| 2014-03-26 20:15
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