昨日は佐島で建方があった。
朝早起きして9時過ぎには現場に着いたが、すでに1階は終わって2階の床を打ち付けていた。そのままいいピッチで3階まで進み、午後3時過ぎには終了して全貌が現れた。
その後、クライアントのKさん一家と親戚、友人、大工、鳶、私、担当のMさんで上棟式をおこない、工事の安全と成功を祈願した。
いつも思うことだが、大工が一番生き生きしてカッコイイのは建方の日だ。
真に華だ。
消防の出初式や祭日の神輿担ぎと似ている。
設計者である私達もその輪の中に飛び込みたいのだが、邪魔になるのでいつも遠くから羨ましそうに見ている。そして休憩時間や昼食時間になるとそそくさと建ち上がったばかりの梁や床に上り、同じ気分を味わっている。
このウィークエンドハウスの設計で一番重要だったのは開かれた海への眺望だ。
3階に上ると佐島マリーナを始めヨットや船の浮かぶ海が目の前に広がり、ほぼ予想通りだったのでホッとした。すぐそばにある山の緑も間近に感じられた。
リゾート地と言うより漁村の匂いが漂い、以前どこかで見たことがあるような、そんななつかしい既視感を覚えた。
だからだろうか、クライアントのKさんから最初にもらったリクエストは「漁村に溶け込む家」で、周辺のコミュニティに自然に溶け込む(だが埋没はしない)素朴な家だ。
尖んがったデザインではない。
私はそういう視点に深い見識を感じる。
結果的にお互いが共鳴でき、とても幸運だった。
この現場に来るのは楽しい。
すぐそばの「海辺」で相模湾越しに富士を眺めながら食べる魚は最高だ。
なんやかやと理由をつけてはMさんだけでなく私も来るだろう。
今年の夏はKさん一家の楽しい笑顔が早くここで見られるようギャンバリたい。
かずま