
「fool」という言葉を初めて教わった時、違和感を覚えた。
(その英語の教師とはケンカをしていたので余計そう感じたのだが、)出て来る例や比喩が悪いものばかりで、本当にそうなのか?本当はお前の方が間違えてるんじゃないか?とさえ思った。
丁度その頃、ビートルズの「Fool on the hill」が出た。
「丘の上の愚か者」とはガリレオ・ガリレイのことだ。
ほら、みろ! 「fool」の方が正しいじゃないか!!
それ以来「fool」という言葉には親近感さえ抱いている。
もう少し大人になってJazzが好きになった頃「My foolish heart」という歌に出会った。
いつも失恋を繰り返してる女の子が、自分のおバカな心に、用心してね!と言いながら、でも今度こそ愛だわ!と思う、なんとも可愛い女の話だ。
純情可憐な人間だからこそ「fool」なのだ。
ビリー・ホリデイの「I'm a fool to want you」を聴いた時には凍りついた。
とてもビリー・ホリデイの声とは思えなかった。
酒と麻薬でボロボロになった身体から振り絞るように出される声は‥‥だが、凄かった。
音程は不安定で、声も全然出ていないなのに、そんなことを超えて凄かった。
狂おしい程に相手を求める、真剣な「fool」だった。
スティーブン・ジョブズが逝った。
Macintoshが本格的に世界デビュー(1984)してからまだ30年もたたないのに、世界は激変した。その功罪は慎重に議論しなければならないが、少なくとも世界に影響を与えたクリエイターという点では、彼はダ・ヴィンチやピカソ、フェリーニやゴダール、マイルスやビートルズに匹敵するだろう。
彼の残した有名な言葉(正確にはスチュアート・ブランドの「Whole Earth Catalog」からの引用)に次の言葉がある。
Stay hungry, Stay foolish
(貪欲であれ!愚か者でいろ!)
「fool」は創造に最も必要なものである。
「fool」でありたい。あり続けたい。
ガリレオ・ガリレイのように、お利口さんにはなりたくない。
かずま