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2022年 09月 24日
中学時代の恩師T先生が亡くなり、追悼文集を作る話がメイルで送られて来た。 T先生は国語の教師で、愛嬌のある少し小太りな容姿と、心の機微に触れる授業は生徒からも人気が高く、名前が俊三なので「俊ちゃん」と呼ばれ慕われていた。 私は外部から来たので、入学当初は何もかもが新鮮で、かつ不安だったが、俊ちゃんはいつも温かく、冗談を言いながらよくかわいがってくれた。 二つ返事でOKした。 書きながら当時のことが蘇ってきた・・・ * * * 附中に入学して最初に驚いたのは、数学の教科書がガリ版刷りのわら半紙で、集合や論理など、それまで一度も聞いたことのない内容が書かれていたことだ。それは数年後に採用される教科書を先取りした授業で、我々はモルモット(でもある)ということを初めて知った。(じゃ、そのコマッちゃんの授業は面白くなかったのかというと全く逆で、とても面クロかった。初めて知ることは何でも楽しい。) それと同じくらいユニークな教科書は3年の時に俊ちゃんから配られた、文芸評論や小説の一節、詩、手紙、日記、新聞記事など、日頃から俊ちゃんが気になってる文章や題材をランダムにまとめた本で、これはきちんと製本され、(記憶が正しければ)濃い緑色の紙で巻かれていた。そして授業で俊ちゃんはそれらを縦横無尽に読み解きながら、楽しそうにみんなに解説してくれた。(普段は誰かを指名し読ませたが、好きな詩や文章になると自分で音読して、細かなニュアンスまで熱っぽく語った。) 私はそれまで漠然と(読書が好きだ)くらいに思っていたが、初めて(日本語が好きだ)、特に(日本語の言葉の響きは好きだ)という風に目覚めていった。 「ゆあーん、ゆよーん、ゆやゆよん」「ホラホラ、これが僕の骨」「ポッカリ月が出ましたら、舟を浮べて出掛けましょう。」など中也の詩が多く出てきて、おかげで中也の詩集を買い、その言葉の響きと音楽のような感覚に酔いしれた。そしてその延長上にあるランボーの詩も好きになった。 詩だけでなく普段の文章も、書きながら何度も読むことで日頃から自分のしゃべる言葉により近づき、息継ぎのブレスの大切さやリズム感の大切さも感じるようになった。 こうした身体で言葉を感じるようになる切っ掛けは、俊ちゃん読本とその熱意溢れる授業にあったと今改めて感じる。 後年、私はある大学で19年間非常勤で建築の設計を教えたが、4年生のテキストで「発想法のトレーニング」と称して自分の好きな建築や建築家の作品を20程選んで、その写真や図面を編集したコピーを配り、「さあ、この建物のどこが面白いのか、説明してごらん?」という授業を学生に行った。ともすれば固くなりがちな頭を柔らかくして柔軟な発想を身につけてもらいたいと思ったのだが、その授業の源は俊ちゃん読本から来ていることにこれを書きながら気づいた。(今回の追悼文の制作過程で、俊ちゃん読本は正しくは「読み取りの力」と言うのだとツーちゃん(辻信作)から教えてもらった。) 良き師、良き思い出に深く感謝する。 かずま
by odysseyofiska
| 2022-09-24 17:21
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