熱かったラグビーW杯が終わった。
優勝したニュージーランドは本当に強かったが、準優勝のオーストラリアも、準決勝でニュージーランドに2点差まで迫った3位の南アも強かった。(4位のアルゼンチンがあんなに凄いランニングラグビーをするとは知らなかった)
そしてその南アに2点差で勝った日本は本当に凄かった。
南ア戦はTVを観ていて鳥肌が立った。スコットランド戦も後半10分までは五分だった。サモア戦は世界戦で初めて観る完勝だった。アメリカ戦はモチベーションを失った中でも勝った。日本が世界の強豪国と五分に戦える国にまで成長したことを初めて実感した大会だった。
では、なぜ日本は強くなったのだろう?
(TVの密着取材でそれは明らかになって行くが、)一言で言えば、Japan Way だ。
日本らしい戦い方、あり方だ。
そして、それはこれまで何度も言われてきたことだが、このチームが初めてそれを完成させ、実践した。そのため、5ヶ月間の合宿をおこない、朝4時半から夜9時までびっしりのメニューを全員がこなした。
口で言うのは簡単だが、凄いことだ。
(私は大学の同好会の山中湖・菅平の合宿で、2週間、午前3時間、午後3時間の練習を経験したが、地獄だった。もちろん、彼らはその比ではない地獄の練習の質と量だ)
選手の身体にGPSを付け、速度計で測り、科学的なデータを分析して、さらに緻密な練習と作戦を練った。
個々の体力とスタミナ、スキルを最大限まで高めると同時に、それを集団として発揮できるよう、連携プレイにも時間を割いた。
その成果が最もよく出ていたのはフォワードだ。全員の意思の統一が成されてパックが固く、南アにもスクラムで押し負けなかった。それどころか、ドライビングモールで南アからトライを奪った。(これまでのJapanでは考えられないことだ!)
ディフェンスのタックルも守りではなく攻めのタックルだった。二人掛かりで低く、そのため何度もターンオーバーを奪った。
バックスもサインプレーがビシバシ何度か決まった。その最たるものが、南ア戦の五郎丸のトライだ。
こうした努力のすべてがW杯の3勝につながった。
体格で劣り、これまで世界戦では何度も惨敗してけして日の目を見ることのなかった日本のラグビーに、初めて光が当たった。
結局、日本が世界で生き残るためには、そして価値ある国として世界に貢献するためには、Japan Wayを極めるしかない。
つまり、日本のやり方、あり方を極めることだ。
それはクオリティの追求だ。
真摯に質を追求し、そのための研究と努力を怠らない姿勢だ。
安易に他から安物を借りてきてそれで良しとするのではなく、常に知恵と工夫を凝らしながら、自分たちにしかできないものを世界に送り出そうとする精神だ。
安心、安全、安泰の先に、さらに良い世界があると信じ、冒険の旅に出る勇気だ。
そうしたものをエディー・ジョーンズHCや31人の男たちから教わった。
4年後が楽しみだ。
かずま