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2014年 04月 16日
3月末に岡山、倉敷に行った。 岡山の赤磐で活動しているS君を励まそうと、中学時代の友人達が集まったのだ。 恩師も入れて東京、近畿、四国から15名程が集まり、さながらミニ同窓会のようだった。 (赤磐で市議会議員をしながら統合ケアをおこなう「たけのこの家」を運営しているS君とその仲間からは逆にエネルギーをもらった) 翌日、前から行きたかった倉敷に行った。 倉敷は川沿いの伝統的な蔵造りの美しい街並で有名だが、建築の設計をやっている者には、大原総一郎の構想する倉敷のまちづくりを建築家の浦辺鎮太郎が具現化していった街として知られている。 丁度、大学に入った年に倉敷紡績旧工場を再生した「アイビースクエア」が建築雑誌で発表され、ぜひ一度見たいと思っていた。 仕事で岡山や姫路に行く用があっても、いつも日帰りで(寄ることができなかったので)今回やっと念願がかなった。 美観地区に入り、先ず最初に大原美術館に行った。 ギリシャ神殿を模した本館のホールに入ると、教科書で見たことのある絵がいくつも飾られている。その中のある一枚に釘付けになった。 「昭和三年二月二十八日朝 陽ノ死ンダ日 熊谷守一」 この絵のことはもちろん知っていた。熊谷守一の画業中、一番激しい絵だ。 本で初めて見た時、なんて凄い絵なんだろう!と絶句した覚えがある。 その絵にまさか大原美術館で出会うとは思ってもいなかった。 本物はもっと凄かった。 魂を奪われるようだった。 これは極貧に喘ぐ画家が自分の4才になる息子を失う瞬間、その死に顔をデスマスクを採るように描いた絵だ。 鬼気迫る激しいタッチの中で、幼子の顔だけはきちんと描かれている。 この世に生を受けたことをきちんと残すかのように。 この日、この時、この瞬間にしか描けない絵で、私は思わずその場で立ちすくんだ・・・ 気がついたら、友人達は皆いなくなっていた。 2階の始めの部屋を見終わったら、携帯がブルブル鳴っている。 トイレで留守録を聴いたら、みんなは既に出て、これから蕎麦屋に行くらしい。 後で合流することにして、そのまま観続けた。 それにしても密度の濃い絵ばかりだ。 きちんと観ていったら日が暮れてしまいそうだ。 丁度、本館を観終わった頃、再び携帯が鳴った。 どうやら蕎麦屋を出るらしい。 合流して荷物を車から出し、みんなと別れ、再び大原美術館に戻った。 そして残りの分館、工芸館、東洋館を観た。 工芸館には濱田庄司、バーナード・リーチ、富本憲吉、河井寛次郎、芹沢銈介、棟方志功の各部屋があり、とても充実していたのに驚いた。 分館地下の現代絵画への目配りにも驚いた。 恐るべし、大原美術館!だ。 この美術館が国内屈指の美術館であることは間違いない。 その後、アイビースクエアに行き、児島虎次郎記念館(これも大原美術館の一部)を観た。 そして、アイビースクエア内をゆっくり見学した。 ここは元々、徳川幕府の天領で、代官所があった所だ。その場所に1889年、倉敷紡績創業の旧工場が建設され、1973年、改修されてホテルとレストラン、ショップが並ぶ複合観光施設として再生された。(アイビースクエアの名は、温度調節のために植えられた、工場の外壁を覆うツタから来ている) 再生のし方はとても上手で、今見ても参考になる点が多い。アイビーの緑や水の引き込み、広場の水の扱いなどなかなか上手い。いろんな所に散見される浦辺流のディテールもおもしろい。(浦辺鎮太郎はローコストの方がクドくなくていいと思う) 中庭で一人お茶しながらそれらを堪能した。 再び川沿いに戻って、蔵を再生したショップを覗く。 そこから北上して、路地の両側にあるいろいろなショップを覗く。 そしてもう一つのお目当ての「平翠軒」に行った。 この店は全国から集めた選りすぐりの美味い食材を売っていて、昨年、白金高輪で設計監理しオープンした「マイスタヴェルク・フーズ」のオーナーの口から何度もその名が出て、一度行ってみたいと思っていた。 店内に入ると所狭しといろいろな食材が並んでいる。そしてそれぞれになぜそれが美味いのかが書き込まれた黄色い紙が添えられている。こういう異常なこだわりがあるからこそ食通のメッカになったのだろうが、私のように食に淡白な人間からすると、少ししつこい気もする。エネルギーの掛け方とその見せ方のバランスはいつも微妙だ。 店内の食通達の熱気に気圧され、早々と店を出た。 その後、近くの小高い山に登って神社と寺から倉敷の街を眺めた。 久しぶりに瓦屋根の建ち並ぶ美しい風景を見た。 今まで重伝建地区(重要伝統的建造物群保存地区)をいくつか見たが、倉敷は間違いなくその成功例だろう。(蔵を改装した多くの店の、商売気が強過ぎる点は少し鼻につくが・・・) それは大原孫三郎を始めとする、自分達の生まれた街に誇りと愛情を持つ人々の弛まない努力の賜物だ。 こうした街がある限り、まだまだ日本も捨てたもんじゃないなと思う。 小料理屋で名物のままかり寿司を食べて、リムジンで岡山空港に向かった。 最終のフライトで戻った東京の街は、どこか肌寒く味気無かった。 かずま
by odysseyofiska
| 2014-04-16 09:53
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