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2012年 09月 28日
一月以上前の話だが、伊香保の「勝月堂」が無事完成し、引き渡しをした。 大変な難工事だった。 まず、(伊香保の多くの建物に言えることだが)敷地境界がはっきりせず、新築は無理だった。当然、改築でおこなうことになるのだが、(これも伊香保の多くの建物で言えるように)図面がないので、現調し、実測するしかなかった。現調すると基礎が無く、土台も腐っていることがわかった。(石段街の古い木造は皆ほぼ同じだ) おまけに崖と接しているので、基礎の打ち方や外壁のつくり方がとても難しかった。 部分的に腰まで立ち上げて基礎を打ち、そこに溝を切って、崖からの水は逃がした。 老朽化した建物はスケルトンにしてジャッキアップし、それをずらしてベタ基礎を打ち、新たな土台をつくった後に元に戻した。そして柱や梁を1本1本見定めながら、使える物は残し、使えない物は取替えていった。 要するに重文の建物を工事するように改築しなければならなかった。 おかげで新築より遥かにお金も時間もかかった。 こんなやり方ではダメだなと思った。 法律や規則を柔軟に読み解きながら、「伊香保方式」と呼べるような新たなやり方を編み出していかないと、この地に住む人達のためにならない。 そのためには行政と住む人と設計、施工者達が知恵を出し合い、柔軟に協議していかなければならない。間を取り持つNPOにはもう少し頑張ってもらいたい。 「勝月堂」を改築するにあたって一番苦心した点は、100年以上続く老舗(温泉饅頭発祥の店)としての風格と、これからの新たな100年に向かってのチャレンジ精神をどうデザインに表すかだ。 私はいつも建築をつくる以上は100年持たせたいと思っている。 ハード面だけでなく、デザイン面においてもだ。 (よく「サスティナブル」と言って、性能表示や省エネ指数の数値だけを問題にするハウスメーカーがあるが、本当の「サスティナブル」とは、深い愛着が湧くかどうかだ。 それさえあれば、100年持たせることなどわけが無い。 人は数値には愛を感じない。デザインの力はやはり重要だ) 結局、外部は(今回の石段街の他の修景事業の建物と同様)恣意的なデザインは排して伊香保の町に溶け込むことに徹し、内部に伝統と共にこれからの新しいデザインを盛り込み託した。 建物の構成はこんな感じだ。 まず、石段街を上って来ると、水平に広がる窓から内部で温泉饅頭をつくっている様子が見える(作業場はオールステンレスで真白い空間)。次に、それを見ながら奥の自動ドアから店内に入る。布袋様と招き猫が出迎えてくれる(障子は昔からの物をきれいにしてそのまま使用している)。右側にある螺旋階段を上ると御堂を見ながら談笑できるイートインに出る(伊香保の奥座敷を意識している)。その奥には従業員の休憩室があり、内玄関で神社の石段とつながっている(そちら側から出入りもできる)。 小さな建物だが、饅頭の製造工程を踏まえた細かい打合せや工事の細かいチェックなど、密度の濃い仕事だった。伊香保の伝統ある老舗の改築に関われたことをうれしく思う。 これからも非力ながら伊香保の町と関わり、少しでも町を良くしていきたい。 かずま
by odysseyofiska
| 2012-09-28 16:44
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